乳がん専門医師のセカンドオピニオンも

乳がん手術後のむくみ(リンパ浮腫)の予防と早期発見

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乳がんの手術で腋窩リンパ節(わきの下のリンパ節)の郭清をした場合、また、放射線療法で腋窩リンパ節にも照射を行った場合、「リンパ浮腫」が発症する場合があります。その場合は、すぐに治療を受けることが大切です。そのためにも「リンパ浮腫」がどのような病気なのか、またどのような症状があるのか、知っておきましょう。

リンパ液の流れが悪くなって起こる「リンパ浮腫」 その症状とは?

乳がんの手術で腋窩リンパ節を切除した場合、また、放射線療法をした場合、その後、リンパ液の流れが悪くなることがあります。その結果、腕にリンパ液がたまって、次の初期症状が現れます。症状は、手術や放射線療法を行った側に出ます。

次の症状があるときには、必ず医師の診察を受けましょう。リンパ浮腫と診断された場合でも、適切な治療を行えば症状の悪化を防ぐことができます。

リンパ浮腫の初期症状
・それまで見えていた静脈が見えにくくなる
・皮膚をつまんだときにしわがよりにくくなる
・腕が重い、だるい、疲れる
・腕がむくむ
・腕にしびれを感じる など
この段階で医師の診断を受けて、治療やセルフケアを行えば、以下のような症状に進行することを防げます。

リンパ浮腫が進行した時に現れる症状
・腕の痛み
・皮膚が乾燥しやすくなる、硬くなる
・手指の細かい動きが困難になる など

リンパ浮腫が起こるメカニズム

リンパ管は、体内からリンパ液を回収する役割を果たしています。このリンパ管が集まった部分が「リンパ節」です。「リンパ節」には、細菌やがん細胞などが体内に広がるのを抑える役割があります。

リンパ液の流れの図

乳がんが腋窩リンパ節に転移した場合、乳房の切除(全体または一部)と同時に、転移がある腋窩リンパ節も郭清します。

リンパ浮腫が起こるメカニズムの図

すると、リンパ液の流れが悪くなる場合があります。放射線療法を行った場合も、同様にリンパ液の流れが悪くなる場合があります。その結果、むくみなどの症状が起こるのです。

「リンパ浮腫」を予防するために大切なこと

①スキンケア 皮膚の炎症は、リンパ浮腫の発症のきっかけになることがあります。炎症を予防するために、次のことに注意しましょう。
1)皮膚を清潔に保つ
・石けんやボディーソープをよく泡立てて、やさしく洗う
2)皮膚の乾燥をふせぐ(乾燥すると肌のバリア機能が低下する)
・保湿剤などを使用して肌が乾燥しないようにする
3)皮膚を傷つけない
・切り傷、虫刺されなどに注意する
・野外活動をするときは、長袖を着て、ゴム手袋を着用する
・ムダ毛の処理はカミソリを避けて女性用電気シェーバーなどを使用する

②腕に負担をかけない
・重い荷物を持たない
・椅子に座って仕事をする際は、長時間同じ姿勢で行わないようにする
・激しい運動は避ける

「リンパ浮腫」を早期発見するために

①皮膚が厚くなっていないか確認する
・静脈の見え方を確認
皮膚が厚くなると、それまで透けて見えていた静脈が見えにくくなります。
・皮膚を指でつまむ
皮膚が厚くなると、しわが寄りにくくなります。左右を比べて違いがないかを確認しましょう。

②腕の太さを測定する
むくみがないかを確認するため、両方の腕を1ヵ月に1回程度計測します。できる限り、同じ時間帯に同じ姿勢で測るようにしましょう。

「リンパ浮腫」を早期発見するために腕の太さを測定する

「リンパ浮腫」の治療法

医師によって「リンパ浮腫」と診断された場合、以下の治療を行います。同時に、自宅でのセルフケアも行うことで、症状の改善を目指します。

セルフケアを自己流で行うと、逆に症状が悪化する場合があります。必ず、資格をもった医師や医療スタッフの指導を受けてから行うようにしましょう。

①スキンケア
皮膚の潤いと清潔を保つことで、皮膚に炎症が起こることを防ぎます。

②リンパドレナージ
通常のマッサージとは全く違い、力を入れず、軽いタッチでさすります。 腕にたまったリンパ液の回収を促進すると同時に、硬くなった皮膚の状態も改善します。

③圧迫療法
弾性包帯(弾力がある包帯)や弾性着衣をつけることで圧力をかけて、リンパ液がたまるのを防ぎます。

④運動療法
弾性包帯や弾性着衣をつけた状態で運動することで、リンパ液の流れを改善します。

「乳房切除後疼痛症候群(PMPS)」 症状と治療法

「乳房切除後疼痛症候群(PMPS)」とは、乳がんの手術を受けた後の慢性的な痛みのことです。症状と治療法は、次のようになっています。手術後、長引く痛みがある場合は、主治医に相談しましょう。

症状
ヒリヒリ、チリチリした痛み 悪化すると、下着や衣服が触れただけで痛みが増す

痛みを感じる場所
・手術をした側の乳房やわきの下 ・手術をした側の上腕の内側

治療法
・投薬(鎮痛剤よりも抗うつ剤、抗けいれん剤が推奨されている) ・リハビリ、認知行動療法

監修医師

監修医師:Dr. 木下 貴之

木下 貴之 Takayuki Kinoshita

独立行政法人国立病院機構 東京医療センター
専門分野:乳腺外科

専門医・認定医:
日本外科学会専門医・指導医、日本乳癌学会専門医・指導医、マンモグラフィー読影認定(A)、乳房再建エキスパンダー責任医師、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本がん治療認定医機構認定医、米国腫瘍学会アクティブメンバー、米国NCIInvestigator、UICCエキスパートパネル

*本監修は、医学的な内容を対象としています。サイト内に掲載されている患者の悩みなどは含まれていません。

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