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乳がんの標準治療「集学的治療」とは

乳がんの治療では、手術が終わった後に、抗がん剤を使った「薬物療法」が行われることがあります。「手術でがんをとったのに、なぜ?」と思われるかもしれません。

複数の治療が行われるのは、「全身にがん細胞が広がりやすい」という性質がある乳がんの治癒を目指して、再発を防ぐための治療が数多く開発されてきたからです。その成果を活かし、乳がんの治療では手術療法、放射線療法、薬物療法の3種類を組み合わせて行うことが多いのです。例えば、手術療法で乳房内にできたがんを取り除いた後、薬物療法で全身に散らばった可能性があるがん細胞をたたくことで完治を目指します。

このように3種類の治療を組み合わせることを「集学的治療」と呼びます。「集学的治療」が乳がんの「標準治療」になっているのです。

集学的治療の概念図

乳がんの3つの治療法

1.手術療法

乳房にできたがんを切除する治療法です。以前は、乳がんの再発を予防するため、乳房だけでなく胸の筋肉も合わせて切除する「ハルステッド手術」が主流でした。しかし、現在では切除する部分が小さくなり、乳房全体または乳房の一部を切除する方法が主流です。
手術法が変化して切除する部分が小さくなったのは、様々な研究によって「ハルステッド術」の再発や転移を防ぐ効果が、乳房全体または乳房の一部を切除する方法と、ほとんど差が無いことが判明したからです。

手術では、乳房の切除と同時に、わきの下(腋窩)にあるリンパ節を切除する「腋窩リンパ節郭清」が行われる場合があります。理由は、乳がんはリンパ節に転移しやすい性質があるからです。このリンパ節郭清を最小限に抑えるために、「センチネルリンパ節生検」と呼ばれる検査を行うことがあります。「センチネルリンパ節生検」の目的は、リンパ節の一部だけを切除、乳がんの転移があるかを確認することです。転移がないと確認された場合、「腋窩リンパ節郭清」を省略します。一方、転移が確認された場合は「腋窩リンパ節郭清」を行います。

2.放射線治療

高エネルギーのX線を照射してがん細胞を殺す治療法です。がん細胞を殺す一方で、乳房以外の臓器に与える影響を最小限に抑えるように照射が行われます。照射線治療は、以下の3つの場合に行われます。

1)再発防止:手術後に乳房全体に照射することで、乳房内に残っている可能性があるがんをたたく。
2)がんを小さくする:手術療法が難しい場合でも、放射線治療と薬物療法を行ってがんのサイズを小さくすることで、がんをコントロールする。
3)転移したがんの治療:症状をやわらげるために骨や脳に転移したがんをたたく。

3.薬物療法

ホルモン療法、化学療法(抗がん剤)、分子標的療法の3種類があります。薬物は、以下の3つの目的で行われます。

1)がんを小さくする:手術ができない大きさの乳がんに対して薬物療法を行う。がんのサイズが小さくなったところで手術を行う。
2)再発予防:手術後に行うことで、切除した部分以外の場所に残っている可能性があるがんをたたく
3)延命・QOLの維持や向上:進行がんや再発時に使用する


乳がんワンポイント

「標準治療」は現時点における最良の治療法

「標準治療」は、科学的に効果があると認められていて、現在行うことができる最良の治療です。

乳がんの治療では、「標準治療」だけでなく「最先端の治療」も行われています。「最先端の治療」というと、「標準治療」よりも効果が高いというイメージがありますが、それは正しいとは限りません。最先端の治療は、「臨床試験」と呼ばれる試験的な段階にあります。「臨床試験」の結果、治療効果があることや重篤な副作用がないことが確認された場合、「標準治療」となるのです。

乳がんの「標準治療」は、患者さんの病状や乳がんの特性によって異なります。つまり、乳がんの患者さん毎に効果を示す「標準治療」は異なるわけで、乳がんが発見された場合、その状態を詳しく調べることが重要になります。

監修医師

監修医師:Dr. 木下 貴之

木下 貴之 Takayuki Kinoshita

独立行政法人国立病院機構 東京医療センター
専門分野:乳腺外科

専門医・認定医:
日本外科学会専門医・指導医、日本乳癌学会専門医・指導医、マンモグラフィー読影認定(A)、乳房再建エキスパンダー責任医師、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本がん治療認定医機構認定医、米国腫瘍学会アクティブメンバー、米国NCIInvestigator、UICCエキスパートパネル

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