肺がん専門医師のセカンドオピニオンも

非小細胞肺がん ステージⅢの治療法 基本になるのは化学放射線療法

ステージⅢAでは手術が行われる場合がありますが、ⅢBとⅢCでは、手術ではなく「化学放射線療法」が標準治療になっています。

「化学放射線療法」は、薬物療法のひとつである化学療法と放射線療法を同時に行う治療法です。局所療法の放射線療法でがん組織をたたくと同時に、全身療法の化学療法で、全身に広がっている可能性があるがん細胞を攻撃します。

1)「化学放射線療法」で行われる薬物療法

基本的には2種類の細胞障害性抗がん薬を同時に使用する「プラチナ併用療法」が行われます。よく使われる薬剤は以下の通りです。「化学放射線療法後」に免疫療法(デュルバルマブ)を1年間行うことも有効とされています

肺がんワンポイント

プラチナ併用療法とは?

「プラチナ製剤(シスプラチン、カルボプラチン)」と1990年代以降に開発された「第3世代抗がん剤(ビノレルビン、S-1、ドセタキセル、パクリタキセル)」を組み合わせて使用する治療法です。プラチナ製剤と第3世代抗がん剤は、どちらもがん細胞を破壊する効果があります。

2種類のプラチナ製剤「シスプラチン」と「カルボプラチン」の違い

シスプラチンは、脱毛や吐き気の副作用が強いため入院点滴が必要です。一方、カルボプラチンにも脱毛や吐き気の副作用はありますが、その程度が軽いため、外来点滴が可能です。ただし、血液の副作用はカルボプラチンの方が少し多くなります。

「化学放射線療法」で行われる放射線療法

1)種類

① 三次元原体照射(3D-CRT)

初期の肺がんの際に行われる「体幹部定位放射線治療」と比べると、より広い範囲に照射できるという特徴があります。

② 強度変調放射線治療(IMRT)

三次元原体照射よりも精度が高い照射が可能ですが、日本では、肺がんの治療にはあまり使用されていません。理由は、肺の正常な部分について、低い線量が当たる領域が広くなってしまうため、合併症のリスクが高くなるからです。

③ 体幹部定位放射線治療(SBRT)

狭い範囲に高線量を集中的に照射できます。がんに対してピンポイントで高線量を照射できるので、副作用を減らし、治療効果を高められます。

2)治療は分割して行われる その理由は?

ステージⅢの放射線療法は、以下のように分割して行われます。

1日1回(線量は2Gy)の照射を週5回、これを6週間連続で行う。合計で60Gyを照射。

Gy(グレイ)とは、体に吸収される放射線の量を示す単位です。

低い線量の放射線を分割して照射する理由は、正常細胞とがん細胞では、放射線を照射された場合に受ける障害に対する反応が異なるからです。

低い線量の放射線であれば、がん細胞だけを叩くことができます。一方、高い線量の放射線を照射すると正常細胞まで死滅してしまうのです。

3)放射線療法による合併症とは?

薬物療法には脱毛、嘔吐や吐き気といった副作用があります。一方、肺がんに対する放射線療法では脱毛は起こりません。また、吐き気は起こりますが、嘔吐はほとんどありません。放射線療法で起こるそのほかの合併症は、次のとおりです。

・白血球減少

・貧血

・放射線食道炎(食事のときに痛みを感じたり、しみたりする)

・放射線肺臓炎

肺がんワンポイント

放射線肺臓炎とは?

照射終了直後~数カ月後に起こります。症状は咳が出る程度ですが、発熱・息苦しさなどの症状が出る場合もあります。高齢者、肺に病気がある人、喫煙歴がある人は放射線肺臓炎が起こるリスクが高いことがわかっています。気になる症状が現れた場合、すぐに医師の診察を受けましょう。

監修医師

小島 史嗣 Fumitsugu Kojima

聖路加国際病院
専門分野:呼吸器外科

専門医・認定医:
日本外科学会 専門医、日本呼吸器外科学会 専門医・認定ロボット手術プロクター、日本がん治療学会 認定医

*本監修は、医学的な内容を対象としています。サイト内に掲載されている患者の悩みなどは含まれていません。


後藤 悌 Yasushi Goto

国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院
専門分野:臨床腫瘍学

専門医・認定医:
日本内科学会認定内科医 総合内科専門医 指導医、日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 指導医、日本がん治療認定機構 がん治療認定医、日本呼吸器学会 呼吸器専門医 指導医

*本監修は、医学的な内容を対象としています。サイト内に掲載されている患者の悩みなどは含まれていません。

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