前提
今回のご相談内容に関して回答いたします。
これから述べる内容は、診察・検査、面談等を行っておらず、ご提供いただいた情報のみを参照して回答するものであるという前提でお読みください。また、このレポートは、今後の治療方針等を主治医と相談・決定する際のあくまで参考としてご利用いただくことを目的として第三者の立場から作成するものであることも併せてご理解ください。
これまでの治療の効果についての考え方
・2016年9月の健診では、なぜ太い針で検査しなかったのか?その時に太い針で検査していたら既に乳癌だったのではないか?
→2016年9月の時点で乳癌だったと考えられます。初回の検査時に細胞診(細い針での検査)を施行したとのことで、初回の画像では良性と考えていたのでしょう。結果は『異常なし』だったにも関わらずその結果に騙されずに、2度目の検査時に癌を疑い太針生検を施行したことは非常に良かったと思います。初回で診断できればベストでしたが、半年後には診断できたので良かったと考えても宜しいかと思います。
・術後の定期検査で、2017年10月マンモグラフィーでリンパ節に影が映っていたので、細い針の組織検査をすると良性だった。今年の3月の検査でも同じ個所に相変わらず影があるので、今度は太い針で組織検査してほしいと頼むと、リンパ節は太い針の検査はないと言われ、念のため細い針でもう1回しようということで、その前にエコー検査をしたところ、これはわざわざ針でもう1回検査する必要は全くないとの主治医さんの話でした。
→
この対応に関しては疑問があります。今回リンパ節が描出されたのは『左』だと思いますが、通常乳癌術後に対側リンパ節へ転移再発をきたすことは殆どありません。全身転移した結果で転移を認める例ははありますが。細胞診をするまでもなく経過から良性といいきれます。ですので太針の生検をする必要もないですし、今後悪性化することもありえません。ただ対側乳房に乳がんができる確率は10%前後ですので、乳房内はきちんと調べる必要があります。マンモグラフィだけではなく、超音波も併用するとよいと思います。
最後に、ホルモン陽性乳がんは術後5年以降の再発も散見されるので、5年のホルモン剤内服後も定期検診をつづけた方が良いと思います。StageⅠホルモン陽性乳癌ですので、そもそも再発は少ないですので過剰な心配は不要かと思いますが、念のため付け加えさせて頂きました。ご参考になれば幸いです。
自由診療の項目
家族歴(乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がんの方で家系内に複数いる)が濃厚であれば遺伝子検査(BRCA検査)を考慮してもよいと思います。通院されているクリニックに遺伝子診療があるようなのでご相談できます。検査は自費で、血液検査になります。万が一、遺伝子異常があれば術後のフォローアップのスケジュールが変わってきます。また卵巣がんの検査も必要になってきます。デメリットはあまりありませんが、遺伝子診療科でご相談いただけると詳しく説明をしてくれます。